バッグと中身と歴史
今週のお題「カバンの中身」
【学生時代の歴史】
小学生時代、まだ赤と黒しかなかったランドセルの頃は、中身がたくさん詰まっていた。
時間割どおりの教科書とノート。
そして筆記用具は新しくなるたび、それはそれはカバンに詰めるのが楽しかったものだ。
中学生になると憧れの黒革の手提げカバンになった。
パンパンに詰めたのは、ほんのひととき。
当時のヤンキー達が「ぺしゃんこカバン」を流行らせていたのが、なんかカッコよく見えて、同じように平たくした。
当然、中身は3分の1くらいしか入らない。
学校の机の中に「置き勉」をするようになった。
高校生も同じような黒革カバン。
あっという間に「ぺしゃんこカバン」にして、当たり前に「置き勉」して、中身は私の頭の中と同じ「空っぽ」だった。
学生の集団生活は、グループ編成ができる。
そこで生き抜くのはとても苦しい。
勉強より人間関係で頭がおかしくなりそうで、頭は空っぽにしないとやっていけない。
だからカバンを軽くすることで、頭も軽い気持ちにしたかった、という身勝手な理由だった。
【大人になったら、バッグは中身より見た目重視】
大人になってからは、オシャレにバッグなんて言うようになるが、実は興味が湧かなかった。
でも大人こそ必要なバッグ。
重た~い話だが、地元就職し、家の事情で家計を養うプレッシャーが大きかった私が選ぶものは、バッグもファッションも「安さ重視」。
必要最低限として持っていた、20代の頃の小さめなバッグの中身は覚えていない。
ただ、思い出せないほどゴチャゴチャしていたのを覚えている。
30代になって、やっと中身を意識するようになりトートバックに変えたら、スペースに余裕ができた分、中身も余計な物が増えた。
そんな私でも環境が変わり、友達が増え、出かける機会が多くなり、気持ちに変化が出始めた。
1つくらい、いいバッグを買おう。
そして自分のために、3万円のブランドバッグを買った。
初めての高い買い物だった。
お財布とスマホとティッシュやハンカチを入れたら、他は入らないほど機能性が悪いシンプルなポシェット。
でも、初めて「見た目を意識して」大人バッグを買った。
私にとってそれは、女子力を上げる大きな成長だった。
【ふとしたきっかけで中身を意識】
他にも、弟からプレゼントにもらったオシャレなバッグがある。
センスの無い姉を思っての、機能性バツグンなオシャレバッグ。
「このポケットは出し入れしやすいから、鍵を入れよう」
「このポケットは、ファスナーがついているから貴重品入れ」
私はやっと、バッグの中身を意識する重要さを知った。
そして「スッキリ整理」へと、心がけるようになった。
そんな自分を客観的に言うのも変だが「女性らしくなった」と思う。
【変わる歴史と変わらない気持ち】
カバンの中身は用途や、年齢によって変わっていく。
貴重品やキーケースなど、基本的なものは変わらないが、アラフォーになるとメガネとマスクが追加された。
でも、母のバッグの中身の多さには驚く。
年齢を重ねるごとに「薬」という必需品が増えていくようだ。
母娘は似たもので、バッグは破れるまで使い続ける。
そしてバッグを買い替えた時は、また初心に戻る。
どこに何を入れよう、と決めるトキメキの瞬間がやってくるのだ。
それは結局、初めてランドセルに教科書や筆記具を入れる小学一年生と、なんら変わらない。